第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
――廻side――
「今から志望希望のプリントを配るから、今月末までに提出するように。今日は午前で授業が終わるが、君たちは今年受験生であることを自覚して行動するように。以上、HRを終わります」
先生の声をぼんやりと聞きながら窓の外で散っていく花びらを見つめた。
春の陽気に当てられ、無意識に欠伸が出てしまうのは仕方が無いと思う。
目じりに溜まった涙を手の甲で拭って配られたプリントに視線を移した。
第1希望、第2希望、第3希望と、3つの欄が見つめてくる。
クラスメイトたちは進路や将来のことを話していてどこか楽しそう。
このヒーロー社会、一度はみんな夢を見る職業、私のクラスだけじゃない、他のクラスだってきっとヒーロー科を目指す生徒が多いはずだ。
みんなやりたいことがあっていいな、私はやりたいことが何もない。
自分がどんな高校生になるのか、どんな大人になっていくのか、そんなの想像したこともない、ビジョンが見えない。
少し憂鬱な気分になり深いため息を吐いた瞬間、隣のクラスから騒々しい声が聞こえてきた。
教室は驚きつつも声の主や内容などを盗み聞こうと静まり返る。
どうやらこの中学から、偏差値と倍率が化け物並みで、入学するのも大変だけど入学した後も大変でありながら、最も人気のある高校に進学を希望する者がいるらしかった、しかも2人。