第2章 マッシュ・バーンデッドと不思議な出会い
長くて白いまつげの奥の瞳が不安定に揺れて、柔らかく笑いかける。
視点が合わないまま僕に名乗って、この人の所作から初めて会った気がしないって勘違いさせてくる要素を僕に与えてくる。
「あ…えっと、ルドヴィカ先輩…ってお呼びすれば?」
「一応、みんなにルドって呼ばれてるから、本当の名前は長ったるいし、そう呼んでくれたらいいよ」
「ルド…先輩…」
「うん。及第点!」
「ナンデスカそれは…」
ルド先輩は
どこか今の季節の太陽みたいな穏やかな人だ。
名前を聞いてもやっぱり知らない。
初めて聞く名前だけど、それでも”ルド”って言う響きはどこか、懐かしくて暖かい感じを感じた。
そして、警戒心みたいなものを先輩からは感じないし、ずっと知っていた親しい人と話していく雰囲気にのまれていくようだ。
「ねぇ…、ルド先輩、本当にどこかで会ったことありませんか?初めてのようで初めてじゃない気もしてて…」
「初めてだよ。めずらしいね。そんな風に言われたの初めて」
「そうですか…」
ケビン君、本当にどうしたんだろう。
ただ知らない、会ったことがないって本当の事言われてるだけなのに、ぎゅっつって苦しくなる。
「よくわかんない事言ってごめんなさい。
でも、先輩の事、このまままた知らない人になるの嫌なんで、友達になって欲しいです」
灰色の目が僕を捉えて見開いた。
一瞬だけど、驚いたような表情に、苦しさを感じたのは気のせいなのかな?
どんな表情なんだろう。
どこか悪いのかな?
しばらくの沈黙。
先輩は視線を落として、ちょっと考えてくれるみたいだった。
鼓動が早くなる。
なんだろう。
こんなの初めてだ。
その時間を長く感じた後、
また、先輩は僕に笑いかけて、こう言ったんだ。
「ありがとう。マッシュ君。今日から友達ね」
「よろしく…おねがいします」