第5章 トラウマ
今日鬼を連れた剣士をお館様に紹介されたァ、。
師範が私に話してくれた。今日は炭治郎に出会った日だったそうだ。そのせいでずっと気がたっていたらしい。
俺の母親は鬼になって俺の兄弟たちを殺した。唯一残った弟を守るために俺は母親を殺した。だがそんな弟も鬼殺隊に入って命の危険にわざわざ自分から足を突っ込んでる。それなのにあいつは鬼になった妹を人は食わねぇだ、ころさねぇだほざいてやがった。だったら俺の母親は何だったんだァ。家族を思う気持ちが弱かったって言うのかァ。クソッ
私は黙って師範の手を握った。
大丈夫です。師範のお母さんは決して家族を思う気持ちが弱かったわけじゃないです。鬼の本能がそうさせてしまっただけです。弟さんだってきっと師範と離れたくないだけです。大好きだから。そんなに自分を卑下にしないで。大丈夫。
「ありがとなァ」
師範は相当抱え込んでいたのだろう。ずっと1人で
「じゃあ師範も思いを私に打ち明けてくれましたし、私の話も聞いてくれますか?」
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不死川said
波は静かに自分の両手を握って話し出した。
「私、一時期虐待されてたんです、叔父に。私にとって鬼よりも恐怖の対象になりました。アイツのことを忘れようと何度も思いました。でも記憶に蓋をしても体に染み付いているんですアイツの匂い、息、顔全てが。アイツは、、、アイツは、、、」
波の言葉が詰まる。
「話したくねぇことは話すなァ」
と俺が言うと苦しそうに波は笑った。その顔に俺は何とも言えなかった。ただ波が話すのを待った。
「師範には聞いてほしんです。私は師範に出会うまでずっと悪夢を見ていました。毎日アイツが私を殴って、、お風呂に沈めたり何度も死にかけました。それから、、人に言えないようなこともたくさんされました。」
波の目には涙すら出ていなかった。それほど泣いて記憶を閉じ込めていたんだろう。俺はそんな記憶をこじ開けてこいつを苦しめているのか。俺は、、、、