第3章 継ぐ子
私は毎晩1人ずつ真夜中に呼び出し食って行った。毎日毎日。そんなことを続けていたら佳織の両親が別荘から帰ってきて佳織の部屋へ向かった。
「佳織!お前だろ!この疫病神が!お前のせいで!」」
父親が佳織の胸ぐらを掴み怒鳴り散らす。
「ご、ごめんなさい!」
それが佳織の初めての父親との会話だった。すると母親が包丁を持ってきて佳織に襲いかかった。
「おやめください!!!!」
私が止めに入らなければ佳織は殺されていただろう。そんな両親も私が一夜にして骨の髄までしゃぶり尽くした。久しぶりの肉はあまり美味しくなかった。
それから私は何故か肉が食べれなくなった。
「知恵大丈夫?何だか最近元気ないよ?」
「私はこのままだとこの子を食べてしまう、、そう思い街に出て人を食べることにしたが、やはり肉は食べれなかった。おそらく食べるたびに佳織の顔が浮かんだからだろう。」
「私の中であなたがこんなにも大きな存在になっていたとは思わなかったわ。でももう戻れない。、、、おい鬼狩りの、私の首を切れ」
「!!!?何言ってるの!!ちえさん!」
まさか自ら首を差し出すとは思わなかった。
「それがあんたの答えか。わかった。」
私は刀を抜き構えをとった。
「水の呼吸 四の型 」
「やめて!やめてよ!やめて波さん!!!」
「打ち潮」
私の刀が鬼の首を静かに跳ねた。
崩れていく鬼の体は止まらない。
「あぁなんでなんで!身体が崩れていく!とまってよぉ!」
佳織さんが叫び崩れていく知恵さんの体を抱きしめる。
「佳織聴いて。私はあんたと過ごしてあんたといる時だけが人間の心に戻れた。きっとこのままあなたのそばにいてもいずれあなたを食い殺してしまうかもしれない。だからこれでよかったの。泣かないで。」
佳織さんの頬を大粒の滴が伝う。
「私にはあなたしかいないよ。どんな時も守ってくれたのはあなただった!一緒に帰ろうよ!お母さん!!!!」
「あぁその言葉が聞けてよかった。愛してるよ私の大切なむ、、す、め」
そう言い残し知恵さんの体は跡形もなく消え去った。