第13章 7日目
目が覚めると、トーチフラワーが咲いていた。
これはきっとサツキも喜ぶぞ!
と思っていると、なんか丸い何かが落ちていてオラは拾ってみた。確かこれは、トーチフラワーの種だ。一晩の内に咲いていた花が種でも残したんだろうか。
まぁいっかともう一回植えようと思ったんだけど、隣にいるスニッファーが欲しそうにしていたから、オラは土を積み上げてカゴから脱出し、トーチフラワーの種をスニッファー二匹にあげてやることにした。
するとスニッファーの足元から小さいスニッファーが出てきて、トーチフラワーの種をムシャムシャと食べ始めた。どうやらこの二匹にはいつの間にか子どもが生まれていたみたいだ。
そうこうとしている内に、いつもとは少し遅い時間にサツキがやって来た。だけど何か様子がおかしい。オラがスニッファーのカゴの中にいることに怒っているんだろうか。
「ねぇ、カズ、スニッファー」サツキの口調は真剣そうだった。「この研究所は危険なところだったの……三人だけでも逃げて──」
言葉は途切れた。なんだろうと見上げると、サツキは部屋の向こうを見ていた。
「ストライダーの実験は順調かね、田中くん」
これはサツキの声じゃない……そうだ、これは最初にオラをここに連れてきた白衣を着た人間の声だ。
「博士……」
とサツキが呼ぶその人は、何か言いたそうな目でオラの方を見た。オラは一瞬で嫌な予感がした。サツキならもっと優しい目をしているのに、この博士はなんかヤな感じだ。