第12章 6日目
サツキはオラの言葉が伝わったかは分かんないけど、それでも暗い顔をしたまんま実験の準備を始めた。それからオラの方を見て、声を掛けてきた。気をつけてね、と。
オラはサツキに抱えられるまま大きなカゴの中に入った。カゴの中は薄暗くて中から外の様子は見えなかった。ただ天井の方で、サツキがずっと不安そうな顔をしてこっちを見ていた。
少しして、サツキの合図が聞こえてガシャンという音が聞こえた。見ると天井に蓋が被せられている。
これから何が起こるんだろうと見上げていると、天井の蓋から何かが落ちてきたんだ。
あれがサツキが言っていたカナドコってやつだと思った。
金床は次から次へと落ちてきた。オラはそんなに目も悪くないから、よく見てかわすなんて簡単だったんだけど、どんどん金床が落ちてくるスピードが早くなってきてオラはジャンプしてかわすことにした。
そうしてカゴの半分くらいが金床になった時、天井の蓋が開いて明るくなった。同時に、金床も落ちてこなくなって、実験ってこんなものなのかと思っているとさっきまで見ていたより青ざめた顔をしたサツキがオラの方を覗き込んできていて不思議に思った。
「どうしたんだよ、サツキ」
「よかった〜……!」
サツキはオラを抱えてオラが無事であることを喜んでいた。
なんか、よく分からないけどサツキが嬉しそうならまぁいっか!
オラは金床が落ち続ける実験に成功したみたいだ。