第11章 5日目
オラはいつも通り、朝早く起きた。
すると近くに置いてあったトーチフラワーが枯れていて、オラはなんとかしなくちゃと思った。トーチフラワーが枯れていたら、サツキが悲しむかもしれない。
オラは足元にある地面を掘って積み上げた。そうやってよじ登ればすぐにカゴの天井まで届いたから、オラは大きくジャンプしてカゴから脱走した。
いや、これは脱走なんかじゃない。トーチフラワーを助けるためのボランティアだ。
オラは枯れたトーチフラワーの元に駆けつけた。やっぱりどう見ても花の形はなくなっていて、小さな植木鉢だけになっていた。
けど、足元にコロンと丸っこい何かが落ちててな。オラはそれを拾ってカゴの中に戻って土に植えてみることにした。またここにトーチフラワーが咲いたらサツキも喜ぶと思って。
まぁこれがトーチフラワーの種かどうかは分からんけど。
そうして丁度オラが種っぽい何かを土の中に植えた頃、サツキが部屋にやって来た。昨日と同じ、八時くらいだ。
サツキは片手に何かカゴを持っていた。オラがいるカゴと同じガラスのカゴだ。
そこに何かが二匹いるのが見えたけど、そこにいるのは人間やパンダではなかった。緑と赤い体をした、足が六本ある生き物だ。
「この子たちはスニッファー」とサツキが説明を始めた。「カズ一人じゃ寂しいかと思って、お友達を連れてきたの」
これも実験だから、とサツキはスニッファーがいるカゴをオラのいるカゴの隣に置いた。すると、スニッファーがその大きな鼻をふんふん鳴らして近付いてきた。何か欲しそうにしている?
「オラは何も持ってないぞ?」
でもスニッファーはふんふん言うだけだ。まるでふんおじみたいだなぁ。
「ふふ、仲良くなれそうかな?」
サツキがオラたちのカゴを覗きながらそう言った。どうだろなぁ。
オラはもう一度スニッファーを見てみた。スニッファーはもうオラから離れていた。地面の匂いを嗅いで、何か探しているみたいだ。