第10章 4日目
そうこうとしている内に、オラはサツキに実験をやるよと別のカゴに入れられた。そのカゴの中は荒れた土の中で、どうやらオラはここで畑仕事をするみたいだ。
「博士からの指示でね、どれくらい手先が器用か調べるんだって」とサツキは言いながらオラに手乗りMOB用のクワを渡してきた。「ふふ、ストライダーに手はないのに、手先って言うのは変だったかな」
サツキの言葉は半分くらいはよく分かんないんだけど、オラはクワを頭の上に乗せた。それから頭を振ると、クワが土を耕していく。オラはカゴいっぱいの土を全部耕した。
「わぁ、すごいね、カズ。畑仕事は初めてじゃなさそうだね?」
そりゃあね、前の飼い主のところで色々やってたんだ。
けれどもサツキには一つも伝わらないまま、紙に何か書いて部屋を出て行った。サツキはオラ以外にも別の生き物の世話をしているみたいで、忙しいらしい。
オラはサツキが置いて行ったトーチフラワーを見てみた。手乗りMOB用なのかオラと同じ背丈くらいしかない。
不思議な花もあるもんだなぁと、オラは花観察と土弄りで今日を終えた。