依々恋々 -Another story(under)-
第8章 BathRoom
洗いっこしよう、と余裕そうな顔。
(なによっ)
いつもこうして誂われ、流されている。
少しくらいは優位に立ちたいものである。
浅灼けた背中に、手にした泡をのばす。
そういえば、と以前に見たドラマのワンシーンを思い出した。
様々な事情で「風呂屋」で働くことになった女性が、客の男性をそうして洗っていた。
向き合う鏡には、少し俯いている赤い髪。
動かないで、と泡に塗れた背中に、そっと体を寄せた。
パッと顔を上げたシャンクスと一瞬目があった気がして、恥ずかしさに顔を伏せて、スリ、と体を滑らせる。
広い背中に押しつけた胸が、泡に滑る。
浮き出た背骨をなぞった乳首に、ん、と声が出る。
顔を見られるのが恥ずかしくて、泡に濡れていない肩に額を当て、膝立ちで抱きつき、擦り寄る。
そっと脇から腕を伸ばし、抱きついた体の前面に手を這わせて洗う。
「お、おいっ」
珍しい行動に慌てているシャンクスを盗み見て、ギュッと抱き寄せる。
「洗っこ、でしょ」
風呂椅子に座る後ろで膝立ちになり、体を擦り付ける。
しっとりと割れた腹筋に手で泡を伸ばすと、熱に掠め、ピクッと動く背筋。
チラ、と見上げると鏡に余裕そうに笑う顔。
(あ、むかつくっ!)
カチン、と来て、泡まみれの手をソコに向けた。
「っおい、」
笑っている耳を舌先で弄り、泡を塗りつける。
「は、どこで覚えてきた?」
両手と泡で包みこんだ熱塊を上下にしごく。
シャンクスの吐息が深いものになった事に気づき、手の動きを早める。
「んっ、🌸っ」
低い風呂椅子に掛けて、立てた膝についた腕。
はあ、と吐かれた息とともに背が丸まる。
「っ出るっ」
抱きつく背中がピクリ、と動き、手中で跳ねる熱塊が白濁を吐き出した。
ゆっくりとした吐息のシャンクスを覗き込むと、ちら、と寄越された流し目にキュンとする。
「いたずら娘め。なんのマネをした?」
「映画で見たソープのお姉さん」
なるほど、とシャワーヘッドを掴み、体を洗い流す。
「🌸、泡、流せ」
来い、と呼ばれた前に回る。
泡を洗い流したシャワーを手放したシャンクスは、🌸の顎を掴んで上を向かせると、なにか言いかけて開いた唇に噛みついた。