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依々恋々 -Another story(under)-

第1章 帰ってきちゃった酔っ払い



なんとなくつけていたテレビ。
23時のニュースが流れ出し、ジウの部屋で、ベッドルームの本棚を漁ったシャンクスは、リビングのローテーブルで読んでいた本を閉じた。

携帯を手に取ると、18時過ぎでやり取りが止まっている。

-終わったら連絡入れるね-

了解、と敬礼するライオンに既読はついている。
店は、と少し前に送られてきた詳細を確認する。
ラストオーダーは22時半。
腕時計は23時を少し回っている。

「チッ」
短縮から呼び出したメモリーを眺め、ポケットにしまう。
煙草とカーキーを手に取ると、ダイニングのカーテンレールにかけていた上着を手に玄関ドアを開ける。

ガツンッと大きな音がして、え、と顔を出す。
蛍光灯に灯される共有スペースの通路に目線を下ろすと、蹲っている黒髪。


「っジウ!?」
「痛ったい」

鍵を持つ手で額を抑え、何事、と目線を上げるジウ。

「わ、悪いっ。そこにいるなんて思わなくてなっ!」

大丈夫か?と抑えている手をどけると、赤くなっている。

「冷やすか?」

慌てるシャンクスの手を掴んで見上げるジウ。

「へーき、へーき」
桜色に紅潮した頬と、ほんのり潤んでいる瞳。
ゴクリと生唾を飲んで、おかえり、と少し上擦った声で返す。

「ただいま」
職場の食事会帰りでふにゃりと笑うジウは、つめたーい、と体温の高い頬で猫のように手へ擦り寄る。

「ふふ、いつもと逆だね」
見上げるその仕草に、シャンクスの心臓が大きく脈打つ。

ジウは目を閉じ、シャンクスの手にキスをする。
「大きな手...好きよ」と言って、また、掌や指先に何度もキスを落とす。


勢いよく立ち上がり、そのまま肩に担ぎ上げると、おおっ!と言うジウのヒールを脱がせて鍵をかける。
出掛けるつもりだったので、電気は全て消えている。
が、慣れたものでうまく暗闇に慣れていない目でも、抱き上げたジウをスムーズにベッドへと降ろす。

びっくりしたー、とわけがわかっていない顔で笑うジウ。

「どうしたの?」
ぺたりと折り倒して座っている脚に手を這わせ、ほんのり色づいている耳に噛みつく。
髪を撫でる手を捕まえると、酒精混じりの吐息を吐く唇を塞ぐ。
首に腕が回ったのを合図にして押し倒した。

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