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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第19章 能ある烏は翼を隠す


影山 side

体育終わりの教室で俺は机に突っ伏していた。
目の前でバレーやってんのに、どうしてバスケしなきゃなんねんだよ。あーバレーしてえ…早く放課後になれ。


「キジー!やっぱり鈴木さんバレー知らないっぽいよ」

「やっぱりそうなんだ」

「うん、鈴木さんは拾ってばっかりで全然攻めてこないし、攻撃は他の子に任せてたよ」


…あいつ、やっぱり打ってねえのか。自分がバレー経験者だと知られたら変に思われるから、と家でいじけてたのを思い出す。別に噂とか周りのヤツとか気にしねえで本気でやっちまえばいいのに。


「そっかぁ…ねえ、絶対4組にだけは勝ってよ!」

「キジーの私怨こわっ」
「男バレのマネージャーってのが気に食わないの?」
「たしかに、鈴木さん自体は明るくて良い子だもんね」

「そうかなぁ…?男子に媚び媚びじゃん。それに、この前男バレの試合応援に行ったんだけど、観客席でただ観てるだけで、とくに声出しもしてなかったし、本当にマネージャー?って思ったよ」


その“ただ観てるだけ”が異常に恐ろしいと知っているのはバレー部の連中だけだろうな。ただ観てるだけで相当な量の情報を収集してそれら全てをスコアに纏めるなんて、敵に回したら厄介この上ない。それに…



──『ギャーッ!烏野の方がガッゴイイー!!』



頭の中に突然あのきたねえ声が蘇って、自分の唾にむせた俺は勢いよく咳き込んだ。



「えっ!…やば、起きてたかな…」



「寝てるっぽいけど」
「マネージャーのことはよく分からないけど、鈴木さんって男女関係なく仲良いだけじゃないの?私にも話しかけてくれるよ?」
「てかキジー、そんなに聞かれてるか気にするなら悪口言うのやめなよ」

「わ、悪口なんかじゃないよ〜!」

「ギリギリのところだと思うけどね」




そのまま睡魔に襲われて、俺が次に目を覚ましたのはその日最後の授業中だった。

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