第19章 能ある烏は翼を隠す

球技大会当日の朝、教室でみんなで円陣を組んだ。この後、開会式があるそうで、全校生徒が体育館に集合した。


「種目の掛け持ちも出来るのに、どうして私はバレーだけなんだって顔してるね！」

『…山口くん、心を読まないで』

「部活が種目の人はサポート入るから掛け持ちNGって、僕はありがたかったけど」

「俺たち体育館から出られないけどね」

『はあ……で、どっちが花道か決めたの？もう花道の人が私とハイタッチしてくれたらそれで諦める、試合終了だけど』

「はは、鈴木まだ言ってるよ」

「あくまでもキミは流川側なんだね」

『ああ！ツッキーやっぱりスラダンわかる人じゃん！』

「…ツッコんじゃった」

『あーもうわかったよ！気持ち切り替えます！バスケ応援してるからね！』

「俺も！バレー応援するから！」


『そういえば、対決は学年ごとだけど先輩たちは何に出るんだろ？』

「たしか、東峰さんと西谷さんと日向はサッカーって言ってたから、あとはバスケだと思うよ」

『旭先輩のサッカー似合うなあ〜！観たかった』

「たしかに髪型がサッカーっぽいかも」

「あと、西谷さん足技得意だし上手そう」

「わかる！」

『潔子先輩のバレーも楽しみだなあ！』

「それ西谷さんと田中さんも言ってた」

「なんかキミ、あの先輩たちに近付いて行ってない？」

『そ、そんな、恐れ多いよ！』

「別に褒めてないんだけど」



号令がかかり、開会式が始まった。