第9章 “特殊”な私たち
入部が許された私は、その場でみんなの自己紹介を聞いた。飛雄は2回目の自己紹介にも関わらず、もう一度“はじめまして”と言ったせいで、みんなからバシバシと叩かれていた。
そして田中さんのことは、本人の強い希望でこれからは田中先輩と呼ぶことになった。例の件もしっかりと謝った。
「じゃあ改めて鈴木さん、これからよろしくな!」
『はい!皆さんよろしくお願いします!…あ、澤村先輩すみません、これ渡すのを忘れてました…』
「なんだそのくちゃくちゃしたの」
「あ、大地!それ入部届だ」
「…日向と影山のもしわしわだったが、鈴木さんのが1番やんちゃだな」
「っはは、穴空いてるよ」
『すみません…どうしても入部したくてつい力が…先生にもう1枚いただいて書き直しましょうか?』
「…いや、これでいいよ。思い出になるだろ?」
『おぉ…思い出!』
「これまでの入部届も全部ファイリングしてあるんだよ。今年は3枚もくしゃくしゃだからファイルに少し厚みが出るかも」
清水先輩はそう言って、何故か嬉しそうに笑った。