第8章 決意のスタートライン
影山 side
「えっと鈴木さん?…どうしてそんなに悲しそうな顔をしてるんだ?」
『私に入部は許されなかったんですよね?』
「えっ!?なんで」
『…私運動部が初めてなので、昨日色々と調べてみたんです。そしたら運動部には厳しい入部の審査があることを知りました。最初が肝心で、挨拶はとにかく腹の底からこんちわッス…そこを掴めないと居場所はないと…』
…コイツ、何を言ってるんだ?
「腹の底からこんちわッス…?鈴木は一体、何を見ちゃったんだろう」
「…知らないけど、絶対変なの見たデショ」
「ははは!まあ、俺たち側の意見はもう決まってるから…あとは清水」
「うん」
清水先輩は俯く美里の手を取った。
『…清水先輩?』
「鈴木さん…これからよろしくね」
『…えっ?……うそ、私合格ですか?』
「そんな審査みたいなものはそもそもないし、鈴木さんのことは私がこれから意地でも勧誘しようと思ってたから…鈴木さんから来てくれたのすごく嬉しいよ」
『…わッ、わッ、わッ!!わァ〜〜!』
「…出た、語彙力ちいかわ」
「あれ、嬉しい時に出るやつなのかな」
「もう僕、この人のことホントわからない」
『………っ!』
ようやく周りが見えるようになったらしい美里は俺を見つけると、パァッと花が咲いたように笑った。