A THOUGHT TO TELL(テニプリ 忍足侑士)
第1章 1
忍足はそう言うと、苦笑して私を見た。
お互いが賭けてたってわけか。
なんか、おかしいな。
「なぁ、 渋希 。俺な、ほんまは 渋希 がここでいつも弁当食べてるの知っててん」
「へ?」
忍足の言葉に、叶弥は首をかしげる。
叶弥 を腕から離した忍足は、こつんと 叶弥 の肩に頭を置いて続けた。
「知ってて、わざといつもあの場所に来てたんや」
「どうして?」
「 渋希 に、ヤキモチやかせたかったんよ」
あほやな、そう言って苦笑する忍足の頭を。
私はそっと撫でた。
愛しいって、こんな気持ちを言うんだろうな。
忍足が好きで、好き過ぎて苦しくなる。
忍足は、どんな気持ちでいつもここに来てたんだろう。
そう考えると、胸がぎゅっと締め付けられた。
「 渋希 」
忍足は、 叶弥 の行動にゆっくり顔を上げると。
目の前にある 叶弥 の唇に、自分の唇を重ねた。
何度も何度も重なるキス。
お互いの気持ちを確かめるように、何度も。
そして、二人は笑いあった。
とっくに昼休みは終わりを告げている事にも気付かずに・・・。
伝えたい気持ちがあった。
そして伝えられない自分がいた。
でも、今は違う。
伝えられたから、受け止めてもらえたから。
だからきっと、もう恐くはない。
END