A THOUGHT TO TELL(テニプリ 忍足侑士)
第1章 1
伝えたい。
あなただけへの想い。
もうずっと、心に止めたまま表に出せない。
いつかは伝えるべきなんだろうけど。
振られたらと思うと、勇気が出ない。
A THOUGHT TO TELL
私は、振られるのが恐い。
一度嫌な思いをしているから、どうしても気持ちを伝える事が出来ない。
まして私の好きな人は、学校でも有名でモテるから。
半端な勇気じゃ、伝える事なんて出来ないと思う。
「あの、忍足君の事、好きです」
昼休み。
テニスコートの側の木陰で、お弁当を食べるのが日課の私は。
いつものように、そこでお弁当を食べてた。
少しして、人が来る気配がしたけれど。
私は気にしないでそこにいた。
そうして。
聞こえて来たのがそのセリフ。
女の子の言葉からすると、相手は同じクラスの忍足侑士。
私も、密かに想いを寄せてる人物。
「ごめんな、俺好きな奴おるんよ」
忍足の言葉が、 叶弥 に安堵をもたらす。
そして、また別の気持ちも・・・。
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「そこに誰かおるん?」
暫くして、女の子がその場を離れてから忍足がそう言ってこっちを見る。
忍足の返事が気になっていた叶弥は、思わず覗き込むような格好で様子を見ていたから。
突然の事に慌てて身を起こすと、そっとその場を離れようとした・・・のだけれど。
「きゃっ」
「その声、まさか 渋希 ?」
足下にあったツタに躓いた 叶弥 は、思わず声を上げた。
その声に、忍足は呆れたような声音で言う。
名前を言い当てられて観念した 叶弥 は。
えへへと苦笑しながら、忍足の前に顔を出した。
「そんなとこで何しとるん?」
「えと、お弁当を食べてたの」
「弁当?」
「うん。そしたらね、忍足君達がここに来て・・・別に聞くつもりはなかったんだよ?」
「・・・まぁええわ。聞かれてしもたんはしゃあないしな」
「ホント?ありがと」
「せやけど、何でこんな所で一人で食べとるんや?」
「え?」
「教室やったら、友達がおるんとちゃうん?」
「うん、まぁそうなんだけど。私ここ好きだから」
「なんでや?」
「テニスコートが見えるから」