第8章 **08
私は素直にエリス様の好意を受け入れた。
作法や礼儀は忘れずに、2人で他愛もない会話をして行く中で、私はエリス様の事がひとつづつ好きになって行った。
エリス様は中でも恋バナがお好きなようで、息子のクラウィス様と私の関係が何処まで進んでいるのか、普段は学園でどんな風に過ごしているのか、気になる事は根掘り葉掘り聞かれて返す度にシエル様との馴れ初め等を思い出していたのだろう、時折遠くを見ては、思い出に頬を染めて想い返しているようだった。
「今日はありがとう。楽しいお茶会だったわ」
「エリス様、私もとても楽しい時間過ごさせていただいて、嬉しかったです。お菓子もお茶も、とても美味しくて···」
「クラウィスとも仲良くやっているようだし、安心したわ」
エリス様も、このお屋敷に嫁いで来られた身だ、だからだろうか私を気遣ってこうして接してくれている事に、恥ずかしながら今更気がついた。
···エリス様、お優し過ぎる。
「エリス様···」
「何か不安がある事や悩みがあったらなら、同性である私に相談して欲しいわ。あなたはわたくしの娘になるのですもの」
その微笑みは、まるで聖母の様で私は見蕩れてしまった。