第8章 **08
ダイニングルームには、シエル様とエリス様の他愛もない会話が続いていた。
会話に耳を傾けていると、こちらまで楽しくなってししまう程に。
時折、「ふふっ」と笑いが漏れてしまったりしたけれど、その度に私を見て微笑ましい笑みを浮かべて来るお2人に、先程までの緊張感は溶けて行った。
「ベアトリーチェ。この後、わたくしのお茶に付き合ってくれないかしら」
メインの料理にナイフを入れていると、隣に座るエリス様から声がかけられた。
その声色は柔らかく、私に向ける視線は優しい物だった。
「はい」
私もエリス様に笑みを浮かべて返事を返した。
「お夕食の後にお茶会はどうかと思ったのだけれど、夜のお茶会もいいでしょう?だって、今日はベアトリーチェも来てくれたんだもの」
「ね?」と可愛らしく首を傾げたエリス様。
私ももちろんお断りする理由は無く、再び「はい」と返事をすれば、クラウィス様からの視線が私に突き刺さった。
···、嫉妬してらっしゃる?
「母上、リーチェをあまり独り占めしないでくださいね」