第6章 **06
チュッ、と最後に離された時にはだらしなくも口端から唾液が零れていた。
クラウィス様はそれをペロッと舐め上げて、私の額に唇を落とした。
「な、んで···」
息も絶え絶えに質問をすれば。
「そんなの簡単な理由だよ。好きだからキスしたいと思うし、···本当なら君に触・れ・た・い・。正直、今は生殺し状態だからキツいかな···。ただ、まだ君とは式を挙げていないからね。その時の為に、大切にしたいんだ」
「でも」、とクラウィス様は続けた。
「君と式を挙げるまでは触れない。けれど唇は許して欲しい。出来れば膝も借して欲しいし、抱きしめさせてもらいたい」
クラウィス様の告白は、思いの外可愛らしいと思ってしまって、私の事を大切にしてくれている事も、今日1日でわかっていた。
だから私は、二つ返事でOKした。
クラウィス様の婚約者兼、癒し係って事か···?