第6章 **06
肩を抱かれて、私達は歩き出す。
迎えの公爵家の馬車に乗り込むと、すかさずにクラウィス様が私の隣へ座った。
今朝は正面に座られていたのに、どうしたのだろうか、そんな事をぼんやり考えていると、頬に手を添えられたかと思えば唇を塞がれてしまう。
「···っ、ん!」
驚いてクラウィス様の胸に手を置き、力を込めるけれどビクともしない。
逆に背中に腕を回されてガッチリホールドされて身動きが取れなくなってしまった。
「··はぁっ···リーチェ」
離された唇。
熱を孕んだ水色の瞳が細められた。
「ごめん、今日は我慢しようと思ってたんだけど、···」
再び塞がれた唇から、クラウィス様の熱が伝わって来る。
呼吸をするように薄く唇を開ければ、クラウィス様の舌が私の口内へ入って来た。
──あぁ、ダメ。流される···。
口内を犯されて鈍る思考。
舌を絡め取られ、撫でられて背中がぞくぞくと戦慄いた。
唇を合わせているだけなのに響く淫らな水音。