FICKLENESS NATURE(テニプリ 跡部)
第1章 1
跡部は、 叶弥 の言葉を全く本気に取らないで。
面倒臭そうに、 叶弥 を睨んだ。
その態度に、 叶弥 はムッとする。
少しくらい、焦ってもいいじゃない。
なによ、そのいかにもうざってぇって言うような目はっ。
「景吾、私本気だよ?」
「あぁそうかよ。好きにしろ」
「本当に?いいの?」
「しつこい。好きにしろよ」
「・・・そう。じゃあ、そうする」
「出来るならな」
「え?っと、わっ」
叶弥 の言葉に、跡部がそう言って何かを投げる。
叶弥 は投げられた小さな箱を、落とさないようにあわてて掴んだ。
見ると、それはきれいにラッピングされている。
「なに?これ」
「お前、きょう誕生日だろ」
「え?・・・あ」
すっかり忘れていた。
今日は5月10日、 叶弥 の誕生日だ。
景吾は、覚えていてくれたの?
だとすると、これはプレゼント?
「どんなのがいいのかわからなかったからな、従兄弟に付き合ってもらった」
「従兄弟?!それいつ!?」
「一週間前だよ」
「うわぁ。勘違い・・・」
「他のも勘違いだぜ」
「なんでよ」
「お前、狙われてるのわかってんのか?」
「狙われてる?」
「俺と付き合ってるから、狙われてんだよ」
跡部の唐突な言葉に、 叶弥 は思わず吹き出す。
何を言い出すの、この男は。
どこまで自信家なのよ。
「何バカな事言ってるの。現に、なんにもされて無いじゃない」
「俺が、代わりに付き合ってるからな」
「は?」
「全く、とんだ災難だぜ。お前に何もしない事を条件に出されたら、断れねぇだろ」
「景吾、それって・・・」
「今までの”浮気”はそう言う事なんだよ」
「うそ。だってそんな事、一言も」
「言ってどうすんだよ」
「けどっ」
「お前に何かあるより、誤解されてる方がいいんだよ」
「景吾・・・・」
叶弥 は、そう言って顔を背ける跡部に、背後から抱きつく。
まさか、こんな展開になるなんて思ってもなかった。
今回だけは、絶対に許さないって思ってたのに。
こんな理由じゃ、許さない訳にいかない。
それどころか、感謝しなくちゃ。
今まで、私は景吾に守られてたんだから。
「 叶弥 、離れろ」
「嫌」
「いいから離れろ」
「むぅぅ」