FICKLENESS NATURE(テニプリ 跡部)
第1章 1
叶弥 は、跡部に言われて仕方なく身を話す。
けれど、次の瞬間には、 叶弥 の体は跡部の腕の中にあった。
あまりの素早さに、 叶弥 はされるがまま。
「ち、ちょっと」
「なんだ、離れたくねぇんだろ?」
「や、でも。離れろって・・・」
「女に抱かれるのは、好きじゃねぇからな」
「あ、そう」
叶弥 は、その言葉に呆れてものも言えない。
どうして、こう主導権を握りたがるんだろう。
叶弥 が、溜め息をついてうなだれると。
跡部はその顔をくいっと上に向かせる。
叶弥 は、その手を振払おうにも抱き締められていてそれが出来ない。
「なによ、これ」
「ムードねぇな。ちょっとは黙れよ」
「煩いな」
「・・・ 叶弥 、一度しか言わないからよく聞けよ?」
「?、うん」
「俺は、お前と付き合い始めた時に、他の女とは手を切った」
「うそっ」
「嘘じゃない。黙ってろって」
「・・・・・」
「俺には、お前だけだ。わかるか?」
「うん」
「・・・好きだ」
叶弥 は、そう言う跡部の胸に、顔を埋めた。
今まで、一度だって言ってくれなかったのに。
こんな時に言うなんてずるい。
ほら、あんまり珍しい事するから。
目頭が熱くなってきちゃったじゃない。
「景吾のバカ」
「なんだよ、それ」
「こんな時に、ずるい」
「こうでもしないと、お前は浮気するんだろ?」
「しないよ、出来ないもん」
「だろうな」
「ムッ。やっぱしようかなっ」
「やめとけ。お前は俺以外にはむかねぇよ」
「どう言う意味よ」
「俺が好きだっていってんだ。不満か?」
「・・・恐れ多いです」
そう言って苦笑する 叶弥 に、跡部はキスをする。
ゆっくりと、とけるようなキス。
その唇が離れた時。
お互いの気持ちが、繋がった。
浮気者の彼は、優しい嘘をつきました。
大切な彼女を守る為に・・・。
そんな物語みたいな、私達の関係。