【R18】呪術廻戦 〜生かすための縛り・死ぬための縛り〜
第1章 全てのはじまり
宿儺「………生きる事にも死ぬ事にも未練がない、か…。
お前はつまらんな。まあ良い、行くぞ」
ビチャ…ペチャ…
血溜まりを草鞋で踏みながら堂々と怯む呪術師達の中を歩き出す。
陽菜乃(この人達に何の感情もない…でも、それでもこんな風に殺されるのは見たくない。
でも勘違いはしないでね、あなた達のために行くんじゃない。
私は…自分で決めてここから出ていく)
宿儺の3歩後ろを歩きながら御三家の呪術師達の間を歩く陽菜乃に禪院家頭首が額から血を流しながら声を浴びせる。
禪「お前も…宿儺も……必ず殺す。今まではお前の母親と宿儺の縛りによって手は出せんかった。
他者間同士の縛りといえど…第三者の介入の代償は計り知れんかったからだ。覚えておけ、貴様らは人ではない、化け物だ。」
背中に浴びせられた言葉が鉛のように重く伸し掛かる。
宿儺「戯言を……相手をするでない、行くぞ」
禪院家を出た後からどうやって此処まで来たのかはあまり覚えていない。
気付けば山奥の廃墟寸前の建物へと連れてこられていた。
宿儺「何をもたついておる?入れ…」
宿儺に促され室内に足を踏み入れると中は意外にも綺麗に片付けられ布団や服、必要最低限の品が置かれていた。
「おかえりなさいませ、宿儺様、陽菜乃様」
月明かりでも分かる程白く美しい白髪に白い袈裟を来た人物が宿儺と私の名を呼んだ。
宿「ああ、今日は寝る。裏梅、陽菜乃を部屋に案内してやれ」
裏「御意に…」
そういって宿儺は廊下を曲がっていった。
裏「こちらで御座います。陽菜乃様」
裏梅と呼ばれた女性か男性か見分けがつかない容姿と声色の人物に案内され、宿儺とは反対側の廊下の先にある部屋を案内された。
裏「今日より此処が陽菜乃様のお部屋に御座います。用があれば私、裏梅に何なりとお申し付け下さい」
そう言ってそっと襖を閉めた裏梅を見て数秒、既に畳の上には綺麗に敷かれた布団が用意されているのに気付く。
今日はもう、何も考えたくない…布団に潜り込み目を瞑る。
初めて来た場所、素性も知れぬ者達…普通の精神状態なら眠れるはずもなかったが、陽菜乃は泥のように深い眠りに落ちていった。