【R18】呪術廻戦 〜生かすための縛り・死ぬための縛り〜
第1章 全てのはじまり
反射的に後ろに身体が仰け反る。
「どうした?まさか母親から何も聞かされてはおらんのか?」
突如現れた存在に言葉が出てこない。
それと同時に頭に浮かんだ言葉……
陽菜乃「宿儺…」
頭に浮かんだ言葉を無意識に口に出していた。
宿「なんだ、聞いておるではないか?だが図が高い、この俺が迎えに来てやったのだ、もっと喜べ」
いつの間に目の前へと近づき顎を掬われたのだろう……
鼻先が触れる程に至近距離でまじまじと顔を見つめられているのに動きがとれずにいる。
が、それを打ち破るように襖を開けた者達の音で我に返る。
禪院家呪術師「馬鹿め…のこのこと禪院家の敷地に入り生きて帰れると思っているのか?」
加茂家呪術師「お前はもう、袋の鼠だ、宿儺」
五条家呪術師「準備はとうの昔に済んでいる。この日のために我ら御三家が何もせずにおったと思うか?」
呪具や式神、様々な術式を発動させながら取り囲まれているこの状況に宿儺は楽しそうに笑う。
宿「ククッ…クハハハ、嗚呼…揃いも揃って蟻が餌に集るように湧いてきたな、俺を殺せると思っているその矮小な脳を切り刻んでやろう。
開(カイ)…」
宿儺が腕を振るったたけで、その斬撃が獣が抉った爪痕のように最前列にいた禪院家の者の胸を切り裂いた。
グハッ……バタッ……
月明かりに照らされ血液がじわじわと畳に染みていく。
宿儺「次……次……次…!」
まるで大人が赤子をあやすように強力な式神や術式をほぼ動かずに片手で払い、斬撃を投げ付け弾く様にただただ見ている事しかできなかった。
宿儺「はぁ…つまらん。もう良い、、、これで終いだ」
伸ばした両手の中指と薬指、親指。そして折り曲げた人差し指と小指を同時に合わせ何か口ずさもうとする瞬間、無意識の勘が働く。
この場の全員の死ーーー
瞬間、宿儺の足にしがみついていた?
陽菜乃「やめて!お願い…もう、行こう。……迎えに来たんでしょ?私を…」
月明かり…冷えた空気の中、倒れた幾人もの呪術師から出る血溜まりと鉄臭い匂いの中、宿儺はそっと腕を下ろす。
宿儺「それで?俺を止めた見返りにお前は何を渡す?」
見下ろされた瞳は陽菜乃をじっと見下ろす。
陽菜乃「私には…もう、大切な人も、、、帰る場所もない。だから…私の全部をあげる」