第5章 第四章
アラスターSIDE
『ゴレア、そろそろ……』
デートから戻り、ゴレアの為に夕食を用意してから声をかけようとゴレアに近寄る。
「うーん……私はこっちの方が似合うと思うよ?」
「まあそっちもアリではあるけど、オレは攻めた感じもいいと思うけどなぁ」
「どっちかというとエンジェルお兄ちゃんの方が似合いそう……」
楽しそうに話しているゴレアを見て、一気に怒りで頭が支配される。
よりによって他の男と、しかも……膝の上で話しているのか?
何故だ、何故一度も私にはしたことがない事を平然と別の男にする?
気が付いた時には、ゴレアを抱きかかえ、部屋へと連れ込んでいた。
「パパ……?」
『……何を、していた?』
「……エンジェルお兄ちゃんとお話ししてたの。この雑誌に載っている洋服、絶対パパの方が着こなせるって!」
『っ……そう、ですか』
「うん!だって見てこれ、パパの方がかっこいいから絶対パパが着た方が似合うもん!」
楽しそうに笑いながら、手に持っていた雑誌を見せて笑うゴレアに、先程まで支配していた怒りが徐々に冷めていく。
本当に貴女は、翻弄させるのが上手い……おかげでいつも気が気でないですよ。
小さくため息をつきながら、ベッドへ腰を降ろし、ゴレアを呼ぶ。
目の前まで来たゴレアは、キョトンとした顔をして私の顔を見ている。
『……ゴレア』
「なあにパパ?」
『……パパの膝には、乗ってくれないんですか?』
「え……いいの?パパのお膝乗りたい!」
『良いに決まっているでしょう、さあ来なさい』
「えへへ、パパあたたかい♡」
手を広げると、嬉しそうに膝の上へと乗ってくるゴレア。
逃がさないようにと抱き締め、そっと部屋の鍵を閉める。
嗚呼足りない……まだ、こんなものではゴレアが足りない。
もっと、もっと深くまでゴレアが欲しい……そうでなければもう収まらない。