第3章 【裏】同室の情事
エルヴィン
「明日以降は野営必須だ。
狭い宿ではあるが、今夜は屋根のある場所でしっかりと身体を休めておくように」
調査兵団は明日以降の厳しい条件下での闘いを控えており、エルヴィンはそう指示を出した。
今夜の寝床として指定されたシガンシナ区の果てのようなへんぴな場所にあるその宿は小さかった。
下級の団員はひと部屋に7人も8人も詰め込まれたが、エルヴィンやリヴァイのような上官は1人部屋を当てがわれた。
しかし、エルヴィンが
「さすがに我々ばかりがこんなに贅沢をするよりも、少しでも隊員が快適に過ごせるなら」とリヴァイとの同室を申し出た。
リヴァイは
「エルヴィンならば部屋を汚したり大いびきをかいたりすることもないからいいだろう」
と了承した。
宿は小ぢんまりしてはいるが、綺麗に掃除はされていたし、寒さを増してきた季節、屋根のある場所で寝られるだけありがたい。
エルヴィンは人知れぬある期待を抱いていたのだが、そんなことをリヴァイは知る由もない。
2人はそれぞれどかっとツインベットに腰を下ろすと、明日の戦略について再度確認を始めた。
明日、リヴァイ班の果たす役割は非常に大きい。
そして危険度も高かった。
「これはリヴァイ班の機動力を見込んでの作戦だ。
危険は伴うが、お前にしか任せられんからな」
そう言った。
そしてエルヴィンは自らの膝をポンと叩きながら
「さて、俺はそろそろ休むとするよ。
リヴァイ、お前の寝る時間が遅いのは知っている。
だがまぁ、俺はちょっとやそっとの物音じゃ目を覚さない。
だから心置きなく自分の時間を過ごしてくれ」
そう言うと、エルヴィンには少しサイズの足りないベッドでブランケットをかけて眠り始めた。