第2章 【裏】怪我後の身体調査 1
ーリヴァイー
ノックをしたが誰も返事をしなかった。
ドアノブに手をかけて「入るぞ」と言うと部屋に入った。
研究室はいつもハンジが占拠しているが、本来特段誰のものでもないので、誰が入っても良いのだ。
「あの巨人オタクメガネのことだ。
どうせすぐにこの部屋へ来るだろう」
と思いながら部屋へ入った。
入った瞬間、おかしな様子に気がついた。
部屋の奥から聞こえてくる声を聞くに、どうやらハンジがレイの服を脱がそうとしているようだ。
戦闘中でもめったに跳ねることのないリヴァイの鼓動が耳の中で音を立てた。
王都の地下街で生まれ育ち、調査兵団へ入団したリヴァイは、その死生観からしてその辺の人間とは違っていた。
エルヴィンやハンジのような長く闘いをともにしてきた仲間は大事だ。
部下も大事だ。
しかし誰かに恋愛感情を持つなど、いつも生きる死ぬの世界で生きているリヴァイからすれば持つべきではないものと考えていた。
いつ死ぬか分からないからこそ積極的に恋愛をしたり、家庭を持とうとしたりする者もいたが、リヴァイの場合は逆だ。