第2章 【裏】怪我後の身体調査 1
ーリヴァイー
王家の武家という血筋ながら、迫害に遭い地下街で育ったリヴァイ。
極限まで身体能力が高められるだけでなく、『道』を通じて過去のアッカーマン一族が積み重ねてきた戦闘経験までもを得ることができるという並外れた能力は、多くの人を怯えさせるのに十分だった。
命を狙われるのも日常茶飯事。
仲間を思う気持ちは強いが、それでも必要以上に誰かと特に親密になることも、ましてや誰かを好きになったりすることも避けてきた。
女など、後腐れない適当な女が一番。
とばかりに、正体を明かさずに関係を持てる女としか寝なかった。
そんなリヴァイは今日も壁外調査へ。
ハンジの分隊とともに行う壁外調査には慣れていたが、今日はまだ戦闘に慣れていないレイという子がいるのでできるだけサポートを、とハンジからもきかされていた。
珍しくハンジが目をかけて可愛がっている隊員、レイとやらを初めて見た時にリヴァイは驚いた。
くっきりと大きな目はガラス玉のように輝き、瞬きをするたびに、音がしそうなほどの凛とした眼差しだ。
真っ白な陶器のように輝く肌には薔薇色の赤みがさす頬。その下には生まれたばかりの赤子のような赤く美しい唇。
豊かな髪の毛は絹のように艶が光り、たおやかに背中の中央まで伸びていた。
リヴァイはまるで時が止まったかのような感覚に陥った。
「うちの大事なかわい子ちゃん、よろしく頼むよぉ〜」
と言って肩をバンバンと叩かれて我に返る。
レイの美しさに心を奪われていたなどとハンジには決して悟られまいと
「触るなクソメガネ」
といつも通り悪態をつく。
ハンジは意に介さずレイの肩にそっと手をやりその場を離れる。
そんな二人のやりとりに、ちょっと驚いた様子のレイはリヴァイに少し微笑みながら会釈をして立ち去る。
その姿にまたもリヴァイは感激していた。
「あんな品のある笑い方できるやつが、まさか調査兵団で命を削って巨人と戦う決断するとはな」