第1章 【裏】新妻への躾
「いってきま〜す♡」
明るい声でリヴァイの頬にキスをして家をでていったレイ。
買い物に行くと言って朝からバタバタ準備していたかと思ったらあっという間にいってしまった。
とたんに家の中がシンっと音を立てたように静まり返る。
エルヴィン
「まさかこのリヴァイが結婚するとはなぁ」
ハンジ
「お前はこんな正反対の女性が好みだったなんて、知らなかったな」
そんな意外そうな声を何度も何度もかけられながら大いに祝福された結婚式から1ヶ月。
今まで男を知らないレイを初めて抱いた新婚初夜は、痛みを少しでも和らげようと時間をかけて優しく抱いた。
結婚前にデートを重ねても、
「結婚するまでは」
というレイの希望に沿い、ずっと我慢してきたこの欲情は爆発寸前。初夜からめちゃくちゃに激しく抱いてしまいたかったリヴァイ。
しかし、自分でも信じられないほどにレイのことが大切だったリヴァイはそれも我慢して、レイが慣れるまではと大事にその時間を育んだ。
無口で神経質、人から好かれるよりも恐れられることの多かったリヴァイとは正反対のレイ。
ちょっとマヌケで片付けもニガテ。だけどいつも鈴を転がしたような可愛い声でおしゃべりが大好き。
大輪の花のような笑顔を咲かせているレイはみんなの人気者だった。
今までリヴァイの住む部屋に、用事も無いのに訪れるのなんてエルヴィンやハンジくらいだったが、結婚して部屋を移ってからというもの、ひっきりなしにレイを訪ねて用事もないのに人が訪れるようになった。
レイと結婚する時点で想像はしていたが、想像を超える人気だ。
食べ物をおすそわけにきたり、ただおしゃべりをしていったり、とにかく家にはひっきりなしに誰かがたずねてくる。
2人きりの時も、レイは一人鼻歌を歌いながら家の中を忙しそうにパタパタと走り回っている。
そして、リヴァイの横を通るたびに
「大好き」
「すきすき」
「ぎゅーってして」
と甘えるレイ。
どうしようもなく可愛い妻なのだ。
「まぁ、こんなうるさい家も悪くない」
こんな賑やかな場所に住んだことがなかったが、リヴァイ。
レイと結婚したことで、初めてこんな場所が世界にはあったのかと気付かされる。