第4章 お見送り
土曜日。
デートから帰って彼の部屋で過ごしていると、インターホンが鳴る。
モニター前でなにやら揉める様子に、夕食を作っていた手を止めて、どうしたの?と声を掛けた。
なんでもない、と誤魔化そうとするシャンクスを押し退けてモニターを見ると、そこには幹部の皆さん勢揃い。
-頭ぁ、諦めて早く用意して出てこいよぉ-
-仮病は使えねぇぜ-
ルゥとヤソップの声に、振り返ると、彼はプイッと顔を反らす。
「お仕事、あるんでしょ?」
「...知らん」
下手くそな口笛を吹く横顔にため息をついて、仕事部屋へスーツを取りに向かった。
✜
「行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
のろのろと靴を履き、ため息をつくスーツ姿の髪を軽く整える。
夜に接待があることを黙っていたのは、あわよくばそのまますっぽかすつもりでいたらしい。
行きたくないぃ、と駄々をこねる彼に、シャンクスのスーツ姿好きよ、と結びの緩いネクタイを整えてやる。
靴べらを持つ彼が屈んで、少し近づいた頬にキスをする。
「こっちがいい」
顔の向きを変えたシャンクスの唇で塞がれる。
行ってらっしゃいのキスにしては濃密すぎるそれに、背伸びしていた脚がカクンと崩れる。
「っし、気合入った」
腰が抜けてへたりこんでしまったジウの前に屈んで、ニッと鼻先が触れる距離で笑う。
「いい子で待ってるんだぞ」
クシャクシャ、と髪を撫でて、赤い耳元に口を寄せる。
「帰ってきたら、いちゃいちゃしような」
スル、とジウの部屋着の裾から入れた手で、下着のラインをなぞる。
「っ早く行きなさい!」
「行ってくるー」
逃げてごねた割にご機嫌で出てきたシャンクスに、外で待っていた幹部の面々は、パタン、と閉まった扉に一同で手を合わせた。
(((いつもお疲れ様です)))
(もう、ヤル気も起きない位に酔ってきて!)
(((それはそれで、めんどくせぇぞ)))
(ううっ)
END