第37章 FRIENDS
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「ウタちゃーん?」
布団に埋もれて返事をしないウタを揺する。
「何だ、起きないのか?」
ルフィと朝支度を済ませたシャンクスが、どうした?とウタを挟んでジウと向かい合って座る。
「ウター、起きろ。遊ぶ時間がなくなるぞ」
ハウスに帰る支度もさせないと、と体を揺する。
「いやぁ」
布団の中でくぐもった声をあげるウタに、起きてんじゃねぇか、と掛け布団を捲る。
「ジウが用意してくれた朝飯、食っちまうぞ」
ホイップクリーム付きのパンケーキだぞ、とウタの好物で釣る。
「...ダメ」
「じゃあ起きて食え。これ以上遅いと、ルフィが食い尽くしちまうぞ」
「やなのー。起きないの〜」
モゾモゾと布団の中で動き回る。
「なんだ、どうした?お前、そんなに寝起き悪かったか?」
くしゃくしゃと寝癖のついた髪を撫でるシャンクスの手を引っ張る。
なんだ、と引かれる手に従ってやると、同じように手を引き込まれたジウとの距離が詰まる。
「帰りたくない」
ボソリ、と言うウタに、またか、と空いた手で赤い髪を搔くシャンクス。
「いつもこう?」
ウタの頭を撫でながら、手を繋ぎ直してやるジウ。
「大概な。だが、いつもなら本当に帰り際にならないとこうはならないんだが...」
今回はどうしたんだか、と苦笑いでウタの隣に寝転んで、髪を撫でてやる。
「ジウに髪、やってもらうんだろう?」
昨夜のお風呂で癖が抜けた髪は、サラリとまっすぐになっている。昨日、布団に入る前にジウにまた髪を結って、と頼んでいたウタ。
「新しい髪飾り、たくさんつけるんだろう?」
シャンクスが獲ってやったヘアアクセサリーのセットは、リビングのローテーブルにばっちりセッティングされている。
「ジウと買い物行くんじゃなかったのか?」
洋服、見繕ってもらうんだろ?と今日の『お楽しみ』で起こす。
ようやく起き上がったウタは、ジウ、と、手を伸ばした。
「ふふ。おはよう」
正座していたジウの膝の上に乗ったウタは、掴んだままのシャンクスの手を引く。
「おはよう、ウタ」
「おはよ」
ふぁあ、とウタが零したあくびに、シャンクスとジウは顔を見合わせて笑った。