第1章 【鬼滅】霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている
「何これ、ビードロ玉?」
一見少女のように見える人物だが、声色は少年のものだった。腰まである長さの髪は艶々で、触り心地も良さそうだ。
彼は奈緒と形状が違う制服を纏い、そこに付いている金の釦(ボタン)は【柱】の証である。
「初め、まして。久織奈緒です……お館様の命でこの屋敷専属の隠に配属されました。霞柱様、ですか?」
「そうだけど」
ビードロ玉と同じ水色の瞳をした少年は拾ったそれを自分の掌に乗せ、彼女に差し出した。
—— 奈緒と無一郎、二人の出会いの瞬間である。