第2章 【呪術】思い出は薄氷の上に
「あの…何か…何か…手伝える事…ありますか?」
「………どういう意味かな…」
奈緒の言葉に夏油は驚き立ち止まる。
記憶が戻ったのでは…と頭に嫌な考えがよぎるが、さっきの会話からそれはないと目を伏せる。
「夏油さんの…役に立ちたいんです。あの…なんだか疲れてるご様子なので…雑務でも買い出しでもなんでも…」
「……そうか……ふむ……なら1つ頼まれてくれるかな…」
「はいっ!もちろんですっ」
夏油は奈緒に小さな紙に書かれたリストを手渡す。
本当は手の空いている者に頼もうと思っていたが、一生懸命な健気な奈緒の様子に気が緩み「3人でたまには遊んでくるといい」と財布を奈緒にそのまま手渡し私用へと戻って行った。