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合同リレー作品集【鬼滅・呪術・ヒロアカ・WB】

第3章 お題小説 Lemon



折りたたみ傘に二人はやはりきつくて、肩を寄せ合って歩いても少しだけ濡れてしまう。
だというのに、触れあっている場所が熱くて、濡れていることは、心底どうでもよかった。

なんだろう。
彼と二人でいることに変わりはないのに、胸の鼓動がいつもより激しい。
気まずい、と思っているのは、私だけだろうか。

「色違いのタイル、」
「え?」

自分のことでいっぱいいっぱいだった私の耳に、吉野くんの声が届く。
今、色違いのタイルって言った?
足元を見ると、確かに赤と白のタイルが無造作に散りばめられているが、だからなんだというのだ。
不思議に思って彼を見ると、驚くほど彼の顔は真っ赤に染めあがっていて、思わず声を出して笑ってしまった。

「わ、笑わないでくださいよ……」
「ごめん、あまりにも想定外の表情だったから」

私が緊張していたように、彼もまた緊張していたのか。
ちょっと安心した。
彼も私と同じ感情だということに。

「吉野くん」
「なんですか?」
「色違いのタイルがあるね」
「そう、ですね……。ありますね」
「赤色のタイル以外、踏んだら死ぬから」
「なんですか、それ」
「子供の頃、よくやっただろう。"白線からはみ出したら死ぬ"
みたいな。それのタイルバージョンだよ」
「それは子供の時でしょう。高校生にもなってこんな遊び……」

無邪気に私は赤色のタイルだけを踏んで歩く。
ぴょん、ぴょん、と効果音がつきそうだと我ながら思って楽しいのだけれど、吉野くんは呆れたように困ったように一つ息を吐いて、しぶしぶと言った様子でくだらない遊びに付き合ってくれた。

「マンホールはセーフにしよう!休憩スポットだよ」

雨の中、私の声が響く。
くるり、くるくる。
まるで傘が逆さまになって回るように、私はマンホールの上で回った。
彼は笑みをこぼして、私と一緒に雨に打たれながら赤色のタイルを踏んで、マンホールの上で踊った。



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