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【マッシュル】となりの剣使い

第3章 ※レイン・エイムズと奇妙な呪い


みんなで商店街へ行った日から暫くが経った。

相変わらずレイン先輩は忙しそうにあちこち飛び回っていて、デートの約束は未だ実現していない。90%の数値も特に変わることもなく。

だが最近はなるべく生活時間を私に合わせようとしてくれているのか、いつの間にかおはようとおやすみをほぼ毎日言えるようになっていた。
朝会えるようになったので、私は忙しそうにしているレインのためにお弁当を作るようになった。いつも表情は特に変わらないが、必ず「ありがとう」の言葉と、完食という形で感謝を示してくれる。それが嬉しくて張り切りすぎてしまって、最近ちょっぴり寝不足だ。

確実に以前より心の距離が縮まったような感覚がある。

私は、レイン・エイムズという存在が少しずつ自分の生活の一部になりつつあるのを感じていた。












「みんなおめでとう!」

私たちがバタバタと忙しくしていた間に、マッシュくんたちはレアン寮の人たちを倒したとかで金のコインを大量に獲得していた。
そんなわけで、今日は誰が言い出したのかアドラ寮内で祝賀会が開催されている。
私たちはマッシュくんの部屋に集まって大量の料理を前に談笑していた。

「これで神覚者への未来も近づきましたな」

もぐもぐと山盛りのシュークリームを頬張るマッシュくんは、心なしか嬉しそうだ。
そんな様子を眺めながらフィンくんが隣に来る。

「でもちゃんもすごいよ。1枚もらったんでしょ?」

「うん。レイン先輩の仕事を手伝ってたからその功績だって。……まあ私は神覚者になるような人間じゃないし、試験も受けるつもりないんだけどね」

私の魔法ではどう頑張ってもサポーター止まりだし、圧倒的な強さを必要とする神覚者の称号は自分には相応しくないだろう。
だから金のコインなんて貰っても本来はあまり意味がないのだが……。

「でも金のコインを集めておいたらさ、成績優秀者と見做されるだろうし将来の就職に役立つんじゃない?」

「就職。確かに言われてみればそうだね……まだ全然そんなこと考えてなかった」

将来したいことなんて考えてなかった。小さい頃から漠然と、両親の店を継ぐのかななんて思っていたし。

「そっか。てっきりちゃんは魔法局に行きたいのかと思ってたよ。……兄さんと仕事してる時のちゃん、楽しそうだから」
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