第2章 レイン・エイムズと初デート
いつの間にか湖は通り過ぎていて、視界の先にアドラ寮が見えてくる。
私はいつだったかレインが窓から飛び込んできたの日のことを思い出して小さく笑みを漏らした。
「あの時は突風が巻き起こるほどの速度で飛んでたのに……」
今日は私がいるからゆっくり飛んでくれたんだな。
「どうかしたか?」
「いいえ、なんでもないです」
本当に言葉の足りない人だ。
でも、だんだんレイン先輩のことがわかってきたような気がする。
そしてきっとこの人も、少しずつ私をわかってきているのだろう。
間違いなく私たちの関係は変わって来ている。きっといい方向に。
いずれ来たる正式な初デートの日を思いながら、私たちはいつもの部屋へと帰っていくのだった。
しかしその先で私たちを待っていたのは、楽しいデートなんかではなく。
やはり対処に困る厄介なハプニングであった。