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【マッシュル】となりの剣使い

第1章 レイン・エイムズと同室の女


私、・には悩みがある。

「あんた2本線のくせに全然強い魔法使えないんじゃん。なんだ期待して損したなー」

名前も知らない男に勝手に期待されて勝手に失望されるというのは、何度経験してもやはり虚しいもの。
とはいえ彼の言うことは全面的に事実でしかないので否定しようがない。四方を緑に囲まれた迷路の中、私はひとりで途方に暮れるしかなかった。


今日はイーストン魔法学校の編入試験の日であり、私はそれを受けにきた受験生の一人である。試験内容は至ってシンプルで、試験監督の用意した迷路を抜けろというものだ。

個人で受験しろとも別に言われていないので、その辺の他の受験者と協力した方がおそらく効率がいい。そしてそうなると私は真っ先にいろんな人間から声をかけられることになる。なぜかといえば、私はいわゆる2本線の魔道士というやつでぱっと見強そうに見えるからだ。

しかしそれこそが私の悩みなのである。私の固有魔法は全く戦闘向きではないどころかサポート性能全振りなので、正直言ってこういった試験では全然役に立たない。魔力量が多いのは事実だし魔法は得意だが、あまりにも使い所がピンポイントすぎる魔法しか使えないので結果的に無能みたいになる。華やかな固有魔法を持っている人が羨ましい。

とまあ話が少し脱線したが、要するに2本線のせいで見た目だけは強そうなのでよく勝手に期待されるものの、何もできないとわかるとすぐに失望される。という経験ばかりしてきたわけである。

「どうしようこのままじゃ試験落ちる……。誰か強そうな人探して一緒に連れてってもらおう。__"アナリシス"」

杖を持つ手に集中する。魔法を発動して、近くの人間を"視る"。
どこかにいないか、強い人……。

「……って、筋力EX+++++++++!?!?!? 魔力0!?!?!??!?」

なんだその"ステータス"は!?

見たことのない結果に思わずでかい声をあげてしまった。
そう、私の固有魔法は『透視』。簡単にいえば他者のステータスを視ることができるというもの。
その魔法を使って周囲を確認したところ、訳のわからないステータスを持つ人物を発見してしまった。

「え、な、ななななんでバレたんですか」

めっちゃ目が泳いでる…。
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