第6章 春高予選
戦いが始まる。
私はインハイ予選と同じく観客席での応援だ。皆の頑張りが実るように、勝てるように手を強く握りしめる。
茂「よっ!凛。元気してたか?久しぶりだなー。可愛い後輩の応援に来たぞ!」
声のする方を見ると、そこには要くんと鎌先さん、笹谷さんがいた。みんな応援に来てくれたのだ。
「元気だよ!要くんこそ元気してた?来てくれて嬉しいけど、皆さん就活は大丈夫なんですか?」
鎌「まー息抜きも必要だろ?」
笹「俺はもう内定決まってるから。」
茂「俺ももう割と目処がついてる。」
「そーなんですね!良かったです!!鎌先さんは少し心配ですけど。みんな今日まで凄く頑張ってたので、先輩方が来てくれて喜びますよ!」
鎌「なんか凛ちゃん心なしか、二口に似てきてね?」
笹「気のせいだろ、素直なだけだ。俺も普通に心配してるよ、お前の進路。」
鎌「嘘だろ。お前もかよ。」
茂「お、俺は大丈夫だとオモッテルヨ。」
鎌「嘘わかりやすすぎだろ。」
そんなこんなで話しているうちに試合が始まる。
やはり流石というべきか、青城チームの安定感は県内でもトップクラスだ。でも、皆の目はギラギラしている。
(うん。黄金川君も大丈夫そうだ。落ち着いている)
1セット目は取られてしまったが、皆の必死な追い上げで2セット目は取り返した。みんなの疲れが溜まっているのがわかる。
堪らなくなった私は、爪が食い込む程に拳を握る。
茂「おい、凛。お前がそんなんじゃ選手達にも不安が伝わるぞ。観客席だからって気を抜いちゃ駄目だ。あいつらを信じてやれよ」
従兄弟としての要くんではなく、前キャプテンとしての彼が冷静に話す。
(無意識のうちに負けられない戦いだなんて思っちゃってた。そーじゃない。今の彼らを、この短期間で成長した彼らを見届けるんだ。)
「ごめん、要くん。私マネージャーとしての自覚足りてなかった。ちゃんと堂々と応援する!」
要くんがグッて親指を立てて返事してくれた。コートからこちらを見ていた国見くんは
国(俺の事応援するとか言って全然見てくんないじゃん。伊達工なんかに負けらんね。)
静かに闘志を燃やしていた。
伊達工では、貰ったお守りを握りしめ水分補給をする二口さんの姿。
泣いても笑ってもこれが最後