第6章 春高予選
3年生が部活に来なくなり、新体制での練習が始まる。3年生の存在が如何に大きいものだったか思い知る日々。
でも、ここで崩れる鉄壁では無いのだ。
二口さんを始めとした、2年生が練習を回し1年生に的確に指示を出している。試行錯誤を繰り返し、ここから強くなるのだ。
キャプテンになった二口さんはキャプテンというプレッシャーからか、いつも以上に疲れた顔をしていることが増えた。
無理もない。強豪校のキャプテンになるという事は負担が大きいのだ。他にも原因がありそうだけど、、、。
最近見て思う。二口さんと黄金川くんは波長が合わないんだろうなって。今までの二口さんは何とかなるだろ精神で、鎌先さんにも適当だって怒られていた。対して黄金川君は、真面目で、極端。アドバイスをされたらその事を素直に受け止めるがあまり、世の理を超越するのだ。
でも、なんでだろ。黄金川君に手を焼く二口さんを見てるのは少し楽しい。先輩に生意気って言われてた彼が、先輩と同じように後輩に手を焼く姿はちょっと可愛い。
そんなことを考えながらドリンクを作っていると、舞さんが
舞「なになに?ニヤケちゃって。好きな人でもできた?」
なんて聞いてくるから、びっくりして
「出来てないし、ニヤケてませんよ。」
って慌てて返し、2人でドリンクを部員達に持って行った。
インハイ予選が終わり、少しはゆっくり出来るなんて、余裕は無い。あっという間に春高予選(宮城県大会)がやってくるのだ。新体制になったからと言って春高のチャンスを逃すつもりは無いし、当然みんなも私も勝ちに行く気だ。
そして私たちは春高予選へと着実に進んで行った。