第13章 能力者。
その瞬間、地面から土が突き出してきた。
「うおおおおおお!!!!!」
足まですっぽりはまって、なかなか自由に動けない。これは敵にとって有利だろう。
「やーりぃ!☆ナイス、二月!」
チャンスとばかりに火の能力者が手の中で炎を造る。
まずい………。
みるみる炎が大きくなっていく。
逃げたいのはやまやまだが、土が重くて素早く動けない。
もう来る!!!!!!
魁人はギュッと目を瞑った。
5秒たっても何も起こらない。あれ?と思い目を開ける。
そこには苦しそうに悶えてる晃司の姿が。
「晃司!!!!大丈夫か!?まさか、お前…っ!あんなでっけぇ玉…吸収したのか!?」
「そんなことしたら体に負担が…っ!」
「馬鹿が……っ!」
晃司は自分を盾にして皆を守ったのだ。自分の能力を利用して。
「あ゛……ぁ…ふ…ふ…んぐぅ…。」
よっぽど衝撃がすごかったのだろう。さっきみたいにすぐには口から出ない。
それを敵はやったと思い、また新たに炎の塊を造る。
これ以上したらほんとに晃司の体が…。
せめてと思い、晃司の前に行き庇う。
もう炎が来る。未だに晃司はもがいている。
今度こそ、もう駄目か……。
諦めかけたその時、
「へたばってんじゃねぇよ!このクソ変態野郎があああああ!!!!」
藍子が魁人の目の前に行き、足で炎をぶっ飛ばす。炎は炎の能力者の元へ行って顔面に直撃。
「あっちいいいい!!」
と炎の能力者が泣きそうになっている。自分の炎でも熱いと感じるのか…。
「!!!!!!っっっああっ!」
振り向くと晃司が火を口から吐き出している。かなりの量だ。
そして何秒かかけて、火を吐き出す。
「はあっ、はあっ…けほっ、けほっ」
「よく、頑張った。ありがとう。」
と晃司の頭を撫でる。すると晃司はちょっと恥ずかしそうに
「こんなの……当たり前のことをしたまでです。」
と言うが、
「結構、勇気いると思うんだけどな〜。」
すかさず魁人がニヤニヤしながら言う。晃司はうるさいですねっ!と恥ずかしそうに言っている。
「あちー…あちかったぁ。なんてことすんだよーっ!」
鼻の部分を抑えながら炎の能力者は言う。まだ幼さそうで可愛い。