第10章 アジト。
倉庫。
あたりは暗い。明かりなんて小さい電球が付いてるだけ。
ここにいる人数は…………暗くて正確には見えない…が、そんなにはいない。10人くらいか?
すると一月は今までに見せたことのないくらい大きな声で、
「班長!!!ただいま任務から帰って来ました!!そして、実験体を持って来ました!!」
と言っている。そんなに班長は怖いのか……。
奥の方から
「ご苦労様。」
と聞こえてくる。声は優しそうな声だ。
一月は班長が見え無いのにお辞儀をしていた。やはり、相当怖いのか…。それか、それが礼儀なのか。俺も礼儀については死んだ部員に言ったことがあるが、見えないとこでもしろ、とはさすがに言っていない。
といろいろ考えていると、その班長が
「実験体……と言ったら失礼かな。葉月奏太……。おいで。」
と言われた。一瞬びっくりした。すると、早く行けと焦ったような様子で一月が言う。
「葉月奏太。」
と呼ばれる。
「は、はい……。」
とりあえず返事はする。
「おいで。」
とさっきよりもきつく言われる。なんとなく早く行かないと怒りそうなので暗闇の中を慎重に進む。わずかな明かりを頼りにして。