第10章 アジト。
一方。
奏太は一月に連れられ敵の本拠地らしきところへついた。
「もう、そろそろ降ろせ。自分で歩ける。」
プールの所からここまでずっと脇に抱えられていたのだ。
「はいはい、分かった分かった。」
とあっさり降ろしてくれた。逃げてもきっと捕まるから逃げない。
分かりきったことはしない。
「……どこへ向かう?」
「ん?まずは、調査実行係の班長に会いに行くよ。」
「ふーん、」
とそっけなく返す。
班長……かぁ。
「あ、ここ、ここ。」
と指さしたのは倉庫……だった。決して狭くはない。そこらへんのやつよりはでかいと思う。
「倉庫……?」
「俺たちはまだ下っ端のほうだからな。向こうにあった豪邸のようなとこには行けもしないがな!ま、ここもそこそこ広いし。」
と笑みを絶やすことなく話す。