第2章 入・・・部?
『おはよー!』
元気よく挨拶をして教室に入ると、何人かの女子たちが挨拶を返してくれる。
そして自分の席に着こうとすると少し前の席でこの世の終わりのような顔をした日向を発見。
『おはよー日向』
「・・・・・」
『日向?』
「ハッ!?!?永瀬!!!お、おはよう!!!」
挨拶しても遠くを見つめる日向の顔を覗き込むとようやく気づいたのか慌てて挨拶を返してくる。
さっきまで真っ白な顔してたのに今はもう真っ赤。
ほんと面白いな、日向は。
『昨日バレー部行ったんでしょ?どうだった?』
「・・・・・入部が、できない・・・・・」
『は?』
思わぬ返答に間抜けな声がでた。
一体何やらかしたんだ日向。
『あっはっはっはっ!!!!!死ぬ!笑い死ぬ!!!!』
「笑い事じゃねぇんだよぉおおおお」
話を聞けば昨日の部活で因縁の相手と出会い、バトルをし、挙句何故か教頭のかつらを吹っ飛ばすと言う始末。
笑わずにいられるかこれが。
『初日からめっちゃ面白いことしてるじゃん(笑)大物は違うね!』
「大物!!!そうか!俺大物なのか!!!」
落ち込んでると思ったら急に目をキラキラ輝かせる日向。
単純でいいなぁ。
でも部活入れてもらえないのはまずいでしょ。
「とにかく!俺は何としてでもバレー部に入ってエースになるの!小さな巨人になるんだ!!!」
小さな巨人!
『あの試合みたの!!!めっちゃかっこよかったよね!!!!』
「やっぱ永瀬も知ってる!?すげえよな小さな巨人!!!」
そうかぁ、日向がこの身長でもバレーボールをやる理由がわかった。
単純な憧れだ。
でも単純な憧れは時に何よりも強い原動力になる。
多分それがあれば、親にあんなこと言われてもやろうとしてたんだろうなぁ。
何となく昔を思い出して、日向はすごいなぁと思いながらそんな日向が入部できればますます男子バレー部が面白くなりそうだと思った。