第7章 練習試合!
しばらく試合が続いていくと、犬岡くんがついに翔陽の速攻に追いついて来ている。
ドシャッとブロックではないものの、何回か手を掠めた。
『す、すごい・・・。ほんとに慣れつつある』
「犬岡くん、大きいけどすばしっこいですからね!」
「頭使ったプレーは全然ダメだけどな。・・・が、ひとつのことを徹底してやらせればーーーー。大いに力を発揮する」
つい感心して呟くと芝山くんが嬉しそうに教えてくれた。
さらに猫又監督が解説を加えてくれる。
これってかなり贅沢な状況なのでは!?
とにかく狐爪さんがわかりづらい。
動きが最小限で周りをよく観察してる。
だからうちの隙を上手に突いてくる。
そしてついに、リードしていたはずの烏野と点数が並んだ。
翔陽の本数が減ってきてる。
止められるつつあるこの状況では妥当かもしれないけど、決定打が減ってしまった為にみるみる点数を入れられていき、1セット目の音駒セットポイント。
ドッ
「やっと捕まえた!!!」
犬岡くんが、止めた。
きっちりブロックで翔陽の速攻を。
1セット目は音駒に取られてしまった。
まさか1セット目で慣れられてしまうとは。
何とか対策を練らないと勝つのは難しそうだ。
それに翔陽、メンタル大丈夫かな・・・。
『!』
「わらったーーーー」
ドシャッとブロックでセットを取られたはずなのに、翔陽は笑っている。
ワクワクしているようなその笑顔に、少し寒気がした。
翔陽ってたまに、独特のオーラみたいなのを発してる時あるよね・・・。
ピーーーッ
2セット目開始
今度は音駒がリードする形で試合が展開している。
やっぱり変人速攻を攻略されると決定打に欠けるみたい。
そして、また翔陽の速攻がくるーーーーー。
『ん!?』
速攻は空振りに終わり、音駒のポイントになった。
今、翔陽・・・、目開けてなかった?
「った・・・た、た、た、タイム!!!」
烏養さんがすかさずタイムを取る。
やっぱり、今のいつもと違ったんだ。
『・・・まさか』
1セット目の試合中、セッターにも関わらず魅せたストレートスパイクを見て、見様見真似をしようとしてた?