第1章 始まりの日
思ったより女子バレー部を見学しすぎてしまい男子バレーは明日でいいなぁと思い帰宅する。
見学しすぎるってなんだ(笑)
慣れない道をホワホワしながら歩いていると後ろから声がした。
「ねぇ」
『あれ、蛍、忠は?』
「山口はそこの道で分かれるでしょ。ちょっと大丈夫?」
『あ、そっか。なんか中学の登下校は蛍について歩いてたから1人ってかなり久々で(笑』
バレーボールを実際に近くで見て、音で聞いて興奮していた。
それに高校初日なんだから帰り道が慣れてないのは当然で。
決して方向音痴とか本能で帰ってるとかではない!はず!
「何かすごい興奮してない・・・?怖」
『えっ・・・。そんなわかりやすいかな』
「わかりやすいって言うか・・・いつもと違う感じ?いや、初めてバレーボール見た時の顔してる」
あー・・・。
アレを見てからバレーボールがやってみたくて、近くでクラブがあるから入ろうと思ってたんだけど、体の弱さから母から「団体競技は迷惑がかかるから」と止められた。
それから何となく、テレビでは見るけど試合を見に行くとかまではしないようにしてて・・・。
『久々に生でバレーボール見たからかな!やっぱ音とか迫力とかすごいし、憧れるわ!』
「え、今日見学してたの?」
『うん、女子バレーの方ね』
「男子の方には来てないの?」
『あー、うん。ほんとは行こうと思ってたんだけどね、ちょっと見入っちゃってと言うか・・・』
「ふーん・・・」
『ん?何かな蛍くん、ひょっとして来て欲しい?』
「なっ・・・馬鹿なこと言わないで。別に興味ない」
『ふっふっふ、大丈夫!明日行くから!』
「だから興味ないって言ってんでしょ」
じゃれあいながらそれぞれの家に帰っていく。
蛍が興味ないって言う時は大抵図星だったりするのはわかってる。
明日行って面白そうだったら男子バレー部にしようかな。
女子バレー部ももちろんすごいし優しい先輩たちばっかでよかったんだけど、なんか若干の温度差を感じたし・・・。
男子はどうかなぁ、面白いかなぁ。なんてまたワクワクしながら明日を待つ。