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ネジを弛めたサドルに跨がる瞬間【弱虫ペダル】

第12章 それを恋だと言うのなら【新開←主←荒北】



体ごとそっぽ向いてしまわれた。ねぇねぇと体を揺すったらさっさと食えってまた怒られた。
隣で静かにあんパンをかじって、なんで私あんパンなんか買ったんだろうと後悔した。甘いもの好きじゃないのに。仕方なくお茶で流し込んで一息つく。

「はぁ…」
「ため息つくなバァカ」
「食欲ないのぉ」
「置いとけばァ。後で食うから」
「ん、ありがと」
「いい加減俺で落ち着けばァ?んなメンドクセーことばっか考えてんならさ」
「ん?んー…んん?」
「なんでもねーよ」
「冗談でしょ?」
「さぁな」
「…ほんと、なんで荒北じゃ、」

言いかけて、やめた。胸がギュッと締め付けられた。
そんなこと冗談で言わないよ荒北は。だから真面目に考えてみたけれどやっぱりそれは無理だと思った。かといって、こうして嫌々付き合ってくれる人を手放したくない。嫌いじゃない、むしろ好き。だけど新開への好きとは全然違う。ごめんね、でもおかげて新開の気持ちがよくわかったよ。

「つくづくイタいヤツだな、お前」
「だね。ごめんね」

つまりはそういう事なのだ。新開も私も荒北も、揃いも揃ってイタいのだ。

fin.
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