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ネジを弛めたサドルに跨がる瞬間【弱虫ペダル】

第11章 彼女が寝違えましたようで【荒北】


部活が休みでよかったのか悪かったのか、傾げたまま痛みで戻せない首を擦りながら部室に向かう。
どんな寝方してたっけな。ただ机に突っ伏してただけなのに何でこうなったんだろう。

「なァニやってんだァ?」
「っつぁ…荒北かぁ」

後ろから話し掛けられたけれど振り向けない。隣に並ぶのを待って、少し首を上げたらまた激痛が走った。そんな私を見て彼は怪訝な顔をする。

「授業中寝てたら寝違えたんだよね」
「寝違えたァ!?バッカかおめー!」
「うるさいなぁ。いたた…ちょっとでも動かすと痛くて」
「ふぅん。カッコつかないからケータイでも挟めばァ?」
「ちょほっ、やめて、笑わせないで」
「ホラヨ」
「挟むなバカっ、あーでもしっくりくる」
「だろォ」
「昨日部室にジャージ忘れたの付き合って」
「んっだヨ、メンドクセー」
「この格好でぼっちとか恥ずかしいの」
「わァーったよ」

一番に会ったのが荒北で助かった。東堂じゃ取り巻きにも注目されるし新開じゃ無理矢理バキボキされそうだし、福ちゃんは華麗にスルーしそうだし。

部室についてジャージを探す。変に動くたびイテテと声を上げて、ババァかよってつっこまれた。だってしょうがないじゃん痛いんだから。ジャージを抱えながら病院行こうかなぁなんてボヤいたら、ちょっとこっち来てとベンチに跨ぐように座らされた。そのすぐ後ろに荒北が座って、そっと肩に手を掛けられる。

「痛くしねーから」
「充分に痛いです」
「無理はさせねーって事ダヨ」
「はいすいません」
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