第2章 荼毘
『甘いの苦手なら無理して食べなくても良いよ...。』
「好きな女からもらったら食うだろ」
『う......』
不意打ちでそんな事言うのはずるい。
「お前の口から食べさせろよ。ん、口開けろ」
それってつまり、口移しとかそういうこと?
荼毘の手が伸びてきて、私の唇にトリュフが押し当てられそうになったところを咄嗟に顔を横に背けて、せめてもの抵抗を見せた。
「あぁ。これよりももっと恥ずかしいコトをご所望か?それなら大歓迎するぜ。」
くつくつと喉を鳴らすように笑う荼毘に背筋がゾクリとした。
『......それもやだ。』
「ん。じゃあ口な。」
有無を言わせない威圧感と甘い声に私はもうされるがままで。
再び伸びてきた荼毘の手は私の上唇と下唇の間に挟むようにトリュフを押し込んだ。
恥ずかしさと緊張でトガちゃんとトゥワイスの存在なんて忘れかけていたし、仁くん私たちはお邪魔虫みたいなのでお出かけしましょッ、というトガちゃんの声すら聞こえていなかった。
どうしよ、恥ずかしい。でも、やるしかない。顔に熱が集まるのを感じながら荼毘を見た。
「いいなその顔。すげェ唆る。早く来いよ、ソレ溶けちまうぜ?」
溶けてしまうトリュフに焦りを感じながらも隣に座る荼毘の胸元に手を添えた。目を瞑り顔を近づけると、後頭部を抑えられて荼毘の唇と舌が私の唇とトリュフをいやらしく貪った。