第2章 荼毘
『......そうなの?荼毘。』
恐る恐る荼毘に聞いた。
「さァな。で、お前はオレに渡すもんないの?」
私の質問は濁され、青い目を妖しく光らせている荼毘。早く出せと言わんばかりに右手を私の前に出してきた。
『でもさっき、荼毘甘いもの嫌いって言ってたじゃん......。私そんなの知らなかったし、多分甘いよ。コレ。』
そう言いながら、荼毘に持ってきた紙袋を渡した。
「お前が食べさせてくれんだろ?なら食う」
『なんでそうなるの』
「だってお前、俺のこと好きじゃん」
恣意的すぎる考えにため息も吐きたくなったが、一度機嫌を損ねたら何をされるか分かったもんじゃないので渋々食べさせる事にした。
袋から手作りのトリュフを取り出して、荼毘の口へ運ぶ。
『荼毘、口開けて、あーん』
「あ、」
荼毘の口に入れると数回噛んだあとに、コクリと喉を鳴らす音がした。
『どう、かな......』
「あま」
ですよね。
ちゃんと荼毘に事前に聞いておくんだった、とはげしい悔恨に苛まれた。
「でも荼毘くん嬉しそうですねッ!」
「荼毘ニヤニヤすんなよ!気持ちわり!可愛いぜ!付き合うか?」
「で、まだあと3つあるけど俺のことが大好きで仕方ないちゃんは、次はどうやって食べさせてくれんだ?」
トガちゃんとトゥワイスを無視してこちらに不敵な笑みを浮かべて質問してきた荼毘。
いちいち私の気持ちを声に出さなくたっていいじゃん...。自分は曖昧にしたくせに。