第2章 荼毘
『ん......』
羞恥で人が死ぬなら、今私は死んだ。もう死んだ。そう思った。
荼毘の顔が離れるとさっきよりも小さくなった私の唇に挟まれたトリュフ。
この際、もう飲み込んでしまえばいいのでは?とも思えてきた。やっちゃったもん勝ちだ。
なのに──
「飲み込んだら、頭のイイお前なら分かるよなァ?」
私の考えを見透かしてるかのように言い放った荼毘。荼毘のこの顔はダメだ。こういう顔の時はたいていロクなこと考えてない。
舌なめずりをした荼毘に心臓が鼓動を打ったのも束の間、荼毘の唇が私の唇に触れた。小さくなったトリュフは私と荼毘の唇の接着面積をどんどん増やしていく。
『んんッ......』
荼毘の舌が入り込んでくると同時に、間にあったトリュフが私の口内に押し込まれた。
コクリ
聞こえた喉の音に荼毘の動きが止まった。
『ぁ......』
────飲んじゃった
「あーあ。お仕置きだな」
その後、ベットの上で朝まで荼毘の言う”もっと恥ずかしいコト”とやらをさせられて気づいたら眠りに落ちていた。
『好きだぜ、』
意識を手放す寸前、とびっきり優しい荼毘の声が聞こえた気がした。
fin.